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らぶあど encore!
第16章 不穏な前兆



あぐりは、野村の言葉に納得した様に小さく頷く。


確かにそうだ。

ほなみにしても、あぐりにしても、恋をして、時にはその恋により傷付いたり秘密を抱えて苦しんだりして来たのだ。

思うようにならず焦れる事も――



あぐりは、男の子を抱き締める景子の後ろ姿を見てポツリと呟いた。



「あの子も、苦労して来たのかもね……」



昨夜、カナに冷静に冷酷に理路整然と反論する景子に
『なんて可愛いげのない憎らしい女なんだろう』

と思い、散々いちゃもんを付けて責めたあぐりだが、急に罪悪感に襲われる。



そんな彼女の心の動きが見える、とでもいう様に野村は後ろから優しく頭を撫でた。



「あぐりは、良い子だね」


「な……何よそれ」



「いや、良い子だと思ったから」



擽ったかったが、野村の掌が心地よくて、あぐりは目を瞑った。


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