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らぶあど encore!
第16章 不穏な前兆
「景子ちゃん、でもさ」
「本当にいいから……」
景子が微かに涙声になっているのに気付くと、亮介は顔を歪めて彼女の手を握る。
「ゲホ……ゲホ」
母は、また咳き込む洋平の背中を擦り、猫撫で声を出した。
「ようちゃん、風に当たると良くないからもう帰ろうね?
帰ったらお薬飲んでお昼寝しようか~」
咳き込みながらも景子を気にする洋平の手を引っ張り、母は踵を返すがふと立ち止まり、景子を振り返り鋭く言い捨てた。
「――病院の請求書送るから今度の送金の時にそれも払いなさいよね」
「ママ……」
洋平が景子を見るが、母に手を引かれあっと言う間に玄関から出ていってしまった。