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らぶあど encore!
第16章 不穏な前兆
病院の近くのカフェ
"MOONBACKSーCOFFEE"の一番隅の席で景子とあぐりは差し向かいで座り、野村と亮介は注文をしにレジに並んでいた。
やはり、二人が一緒に居ると目立つ。
景子もあぐりも、騒ぎが起きないかとハラハラしていたが、幸い周囲の客達は遠巻きにヒソヒソ話をして二人を見ているだけだった。
彼らがあまりにも堂々としているので、まさか本物のクレッシェンドメンバーとは思わないのかも知れない。
あぐりと景子は、お互い目を合わさずに気まずい沈黙の中に居たのだが、先に口火を切ったのはあぐりだった。
「ねえ……脚、大丈夫?」
景子は、驚いた様に顔を上げ、あぐりをまじまじと見るが、その口からは素直な言葉がするり、と出る。
「大丈夫……
大した事無いみたいだから……
ありがとう」