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らぶあど encore!
第16章 不穏な前兆
予想外の景子の言葉に、あぐりの大きな目が更に大きく開かれ、頬が僅かに染まり何故かどもる。
「そ、そそそう?
そりゃ良かったわねえっ」
昨夜の調子で鋭く切り込まれると思っていたあぐりは、完全に戸惑っていた。
意地の悪い相手との舌戦には強い、と自負している彼女だが、想定外の対応は苦手なのだ。
居心地の悪さを誤魔化すかのように、あぐりはバッグを探り処方された薬を出して飲み込んだが、景子の真剣な目とぶつかり危うく変な場所に薬が入りそうになって咳き込んだ。
「ゲッホ……」
「あなたこそ、大丈夫?
具合悪いから病院に行ったんでしょう?」
景子は立ち上がり、噎せるあぐりの背中を擦った。
あぐりは更に吃驚してしまい、咳もすぐに止まってしまった。