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らぶあど encore!
第2章 じれったい距離
「あ、この間は祖母が引き留めてすいませんでした」

「いいんだよ。楽しいお祖母さんで羨ましい。うちは祖母や祖父は俺が物心ついた時には亡くなってたからね」


「ああ……そうなんですね」


智也は腕時計をちらりと見ると立ち上がる。



「さて、準備もあるからもう行くよ。東野さん」


「は、はい、あの、着替えて来ます」


「いいよそのままで。ああ、自分のバッグだけ持ってて?……これかな。あとは途中で必要な物を買ってこう」


智也は医務室から出て、事務所のフロアのカナのデスク横にかけてあるバッグを持った。

従業員達の好奇の視線が突き刺さる中、智也はカナの手を引いて皆にサラリと挨拶した。



「じゃあ、行ってきます。何かあったら連絡をくれ」


「行ってらっしゃい!社長!」


フロアで仕事中の皆が全員立ち上がって見送る。
伊藤と芽以もニヤニヤして手を振っていた。


「い、行ってきます」


靴を履き替えて、右手を引かれて智也と共に社用車に乗り込んだ。
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