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らぶあど encore!
第18章 波瀾のdate
ほなみは、衝動的な自分に自分でも呆れ、けれどどうしようも出来ずにいた。
すれ違う人々の中に、連れ立って歩く恋人達を見付けると切ない思いが沸き上がる。
――私は、ただ、あんな風に彼の隣にいつまでも居たい、と願っているだけなのに――
何故こんな風になってしまうのだろう。
祐樹と出会う前は、智也との結婚も、智也との交際も恋愛なのだと思っていたが、祐樹に烈しい恋情をぶつけられた時、
"今まで私は、恋を知らなかったのかも知れない"
と思ったのだ。
恋しくて自然と涙が溢れたり、嫉妬にやきもきしたり――
そんな事をほなみに教えたのは、他ならない祐樹だ。
「……痛……っ」
ほなみは、下腹部に鈍痛を覚え、顔を歪めるが、足を止めずに前へと進んだ。
「ほなみ……
待てよ!」
彼が、追い掛けてくる。
追い掛けて来て欲しいけれど、嫉妬や、訳の分からない感情に呑み込まれた醜い自分の顔を見られたくない、とも思う。
ほなみは強くなる痛みに耐えながら、歩を早めた。