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らぶあど encore!
第20章 Don't worry,I Love you
「おい……
ノロケかよ!それとも自慢か――!」
祐樹はスマホに向かい叫ぶ。
電話の向こうで聴こえた声が綾波の噂の歌姫で、恋人らしい。
その耳を擽る不思議な声に、ほなみのアルトの響きの囁きを思い出す。
「……声のタイプは違うけど……
綾波の彼女いい声だな……
いやいや、俺はやっぱりほなみの声の方が――」
ブツブツ独り言を呟く内に、先程ほなみを擽った時の彼女の鈴を転がす様な笑いが蘇り、同時に祐樹の中に音楽家としての閃きが降りてきた。
祐樹は運転席のシートを掴みもどかしそうに急かす。
「――運転手さん、急いで!飛ばして下さいっ!」
身体じゅうに詞(ことば)、旋律が、溢れてくる――
早く、早く部屋に戻りピアノに向かわなくては――
祐樹はすっかり憂鬱な自己嫌悪を忘れ頭の中で弾むメロディーを奏でていた。