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らぶあど encore!
第21章 揺れる想い
「い……」
「い!?」
亮介が、景子の漏らした声に食い付く。
「い……いいいい」
「いいいいっ?」
景子は、振り返らないまま、唇や肩を震わせ、真っ赤なままで怒鳴った。
「――獲ったら、じゃあないでしょう!
一位を獲ってやる!て言いなさい!」
「ヒイッ!」
亮介はピリリと響く景子の声に、背筋を伸ばして何故か敬礼する。
「……クレッシェンドは……最高の曲で全力で勝負するんでしょ……?
そ、それに……
さ、最高のギタリストが居るんだから……負ける訳が、ないんでしょ?」
「……けーちゃん」
亮介が目を見開く。
「い、いいわよ……
一位……獲ったら……」
「け――ちゃ――ん!」
亮介が、ジャンプして抱き着こうとするが、景子がサッと避けた為、顔からビタンと床に見事に倒れてしまう。
「やだちょっと……
大丈夫?」
車に轢かれた蛙の様な格好で手足をヒクヒクさせる亮介に景子が駆け寄ろうとした時、賑やかな声と共にドアが開き、祐樹と三広が入ってきたが、亮介は二人に思いきり踏まれてしまった。
「ぐぎゃ」
「ただいま~!
さ~また頑張ろう!
……ん?」
祐樹は違和感に足元を見て眉を上げる。
「亮介、何してんの」