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らぶあど encore!
第22章 思いがけぬ邂逅
『……ありがとう、ほなみ』
「――」
ほなみは、胸が詰まり何も言えなくなる。
何不自由無かった智也との結婚生活を捨て、祐樹との恋を選んだ自分が、智也の幸せを願うのはある意味卑怯な事かも知れない。
だが、ほなみは智也と夫婦で暮らしていた頃よりも、彼を一人の人間として尊敬し、敬愛の気持ちを持っていた。
(――離れてみて、分かる。
どんなに私を大切にしてくれていたのか――
でも私は、西君を選んだ……
貴方を捨てて……)
思わず涙ぐんだほなみの気配を智也が察したかの様にくつくつ笑う。
『お前の考えている事、言わなくても全部分かるぞ……』
「えっ……」
『カナとは、またちゃんと話をするから……
お前はもう、心配するな。
赤ん坊を無事に生む事だけを考えてろ』
ほなみはしゃくり上げ、返事が出来なかった。