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らぶあど encore!
第22章 思いがけぬ邂逅


景子がその形のよい唇を歪め俯くのを見て、透は柔らかなウエーブの髪をかきあげ舌を出して目を丸くする。

不味い事を聞いたのかもしれない。

自分が研修医の頃に勤務していた総合病院で、まだ赤ん坊だった洋平を何回か診察した事があった。

沢山の子供を診るし、その母親達とも数多く会って話をするわけだが、景子と洋平の事は特に強く記憶に残っていたのだ。

景子が美人だからというのもあるが、大概診察には景子の母も付き添ってきていたのだ。

その母親の洋平への可愛がりように対して、景子への冷淡な態度が目についた。

あまりにも露骨で、透は内心不快にさえ思っていたのだ。

洋平が真夜中に咳が止まらない、と言って透の当直の時に来たことがあった。

だが、病院への道中で洋平はぐっすりと眠ってしまい、透は
(眠れているなら、心配ないだろう)
と思いながら、念のために聴診器で胸の音を聴いた。


「異常はないので様子を見てください」


と言うと、景子の母は目を剥いて怒り、


「それだけですか?
薬とか、検査とかちゃんとやって下さい!
さっきまで凄く苦しそうにしてたんだから!
もし、このまま放っておいて、洋ちゃんに何かあったら、貴方のせいよ!」


と怒鳴った。


景子は洋平を抱いたまま困惑し、宥めようと母親の肩に触れるが、母親はその手を振り払い透に言い放ったのだ。


「大体が、貴方みたいなチャラチャラした若造は信用出来ないと思っていたのよ‼
若いお母さんにチヤホヤされていい気になってるんじゃないの?」





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