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らぶあど encore!
第22章 思いがけぬ邂逅
「北森さん――」
しまった、泣かせてしまった――と透は内心慌てたが、表面はにこやかな表情のまま彼女を見詰めた。
「すいません……
優しい言葉を……かけてもらったのが……ひ、久しぶりでっ……」
景子は、しゃくりあげながも懸命に笑顔を作った。
「……育児や、他の困ったことがあるなら……
病院で看護師が相談に乗る窓口があります……
初めてのお子さんですし、色々とご心配もあるかもしれませんし……
どんなことでもお話を聞きますから、良かったら気軽に利用してみては?」
透は目の前で女性に泣かれるのは初めてではなかったが、仕事中にこのような事態になるのは想定外だった。
しどろもどろになりながら言うと、景子は涙を拭い気まずさを振り払うように明るい声を出した。
「ありがとうございます。
私、母に憎まれているんですよ……
洋平は私生児なんです。
私が、何処の馬の骨とも分からない男の子供を産んだ、て、母は怒っているんです……」
「……そんな……そんな事ないですよ、母親が自分の子供を憎いなんて」
透はそう言いながら、あの祖母の愛想のない表情と冷たい態度に、
(そうなのかも知れない)
と思っていた。