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らぶあど encore!
第22章 思いがけぬ邂逅
ほなみは透にからかわれて熱くなった頬を掌で押さえ、景子の隣に並び覚束ない足取りで歩く。
「透先生と知り合いだったんだね……」
「う、うん」
景子は、洋平の話をあぐりにも、亮介にもしたことがなかった。
何から話をして良いか分からなかったし、そんな個人的な――しかも重い話をして良いものかどうか、躊躇していたのだ。
誰かに相談をして、自分の心を軽くする、という方法を景子は知らずに生きてきた。
ハンサムな、優しく見える男に恋して子供を身籠り、そして捨てられて――
そうして一言で言ってしまえば簡単なように思える自分の過去だが、自分の事について語るのは景子は苦手だった。
昔からそうなのだ。仲良くなれそうな同級生がいても、景子は自分の思いを器用に伝える事ができず、またその完璧な容姿は時として冷たい印象を人に与え、ほんの少しの行き違いで決定的な亀裂を生んでしまった。