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らぶあど encore!
第23章 秘密のライヴ


「大体がお前はなあ――」



鈴置に食って掛かる時田だったが、ステイッキで唇を器用に摘ままれて黙らせられる。



「こんな不毛な事をしてる場合じゃない。
史が呼んでるよ」

「むむ――っ?ぶみ――?」

「……そう言えば、まだ歓声が止んでいないわ」



景子は会場の方を裏の通路からそっと覗くが、殆どの客がまだ帰ろうとせずに手拍子をし、史のバンドの曲を合唱していた。

時田は目を丸くして鈴置を見るが、鈴置は黙って頷いた。



史のバンドのライヴでは珍しい現象だったからだ。

本編が終わり、バンドの曲をファンが歌ってアンコールコールするというのはライヴでは良くある光景だが、史はアンコールをやらない主義だ。



『予定調和のアンコールなんか馬鹿馬鹿しい。本編で全力を出し切る事こそが、本来あるべきパフォーマンスだろう。
ファンサービス?……はっ!それこそ馬鹿げてる。最初から組み込まれたアンコールをするために余力を残して演奏しろってのかよ!』



ファンの為にアンコールに応じた方が良い、と主張するメンバーに、史はこう言って聞かなかった。






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