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らぶあど encore!
第23章 秘密のライヴ
ほなみは、キラキラした少女の様な無垢な笑みをステージに向けている。
会場では、ドラムソロが盛り上がりを見せた辺りで、時田と史が順番に登場したようだ。
一際大きな熱狂の歓声は、史に向けられているのだろう。
「明智さんって凄いボーカリストですね……」
ほなみの不意の呟きを、景子は一瞬何の事なのか理解出来なかった。
「ああ……あの一番目立ってる人ね……」
景子と史は、今日が初対面の振りをしていた。
史は偶然会ったほなみを見て大喜びし、強引にライヴハウスまで連れてきたのだが、会場の前で入待ちをしていたファン達は、皆ほなみと景子に羨望の眼差しを向けた。
景子はその視線が心地よくもあり、また、そんな風に優越を感じる自分を馬鹿馬鹿しくも感じた。
――皆、憧れの目を史に向けているけど、史はね、女を踏み台にするのをなんとも思わないクズなのよ……
なんてったって、史の子供を妊娠した私を放り出したんだから……
でもね、史にとって私は必要な女なの。
好きに抱かれて捨てられて終わり、のあんた達とは違うんだからね……っ――
だが、何度も何度も不信を抱きながらも、史が時折見せる優しさの様なものにほだされてしまい、結局彼から離れられない自分が負けなのだろう。