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らぶあど encore!
第23章 秘密のライヴ
「あ、明智さんっ?」
「くそっ……俺のバラードを聴きたいが為に……身体を差し出す女だっているんだぞ……!なのにお前……っ」
史は唇を震わせ、至近距離でほなみを鋭い目で見詰めるが、彼女は困惑するだけで何も言わずに見詰め返してくるだけだ。
史を呼ぶ声に、ほなみは心配そうにステージの方を見た。
時田がギターを弾きながら何かを言ってはフォローしているようだが、困っているに違いない。
「あの……戻らないと……」
「ステージの心配をしてる場合かよ」
「え……」
史は燃えるような瞳をほなみに向け、彼女の柔らかい身体を抱えたまま裏口へ向かい歩き出す。
状況が理解出来ないほなみは唖然として彼の顔を穴が開くように見るが、史は小さく溜め息を吐いた。
「……鈍いな……お前」
「な……何の事です?」
「俺が今、何を考えてるのか分からない?」
ほなみが目を丸くした時には、二人はライヴハウスの裏口へ出ていた。
夜風が冷たく、ほなみが身体を震わせると、史は彼女を降ろし自分のジャケットを羽織らせた。