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らぶあど encore!
第23章 秘密のライヴ
「あ……ありがとう」
ほなみが礼を言えば、史は微妙な表情をしそっぽを向く。
「本当に……お前……調子が狂う」
頭をかきむしり空を仰ぐ彼に、ほなみは一歩近付いた。
「ファンの人達が待ってるわ……戻ってあげて」
「……もう……歌う気分じゃない」
「――?」
「言っただろう、お前に聴かせる為に俺は」
「そんな我が儘、駄目よ」
きっぱりと言い放つほなみに、史は小さく笑った。
「だって、歌いたくね――んだから、仕方がないだろ」
「……」
ほなみは一瞬押し黙り、羽織らされたジャケットを脱ぎ彼に押し付けると、背を向け歩き出した。
「――待てよ、何処行くんだ」
史が後ろから腕を掴むと、ほなみはキッと彼を睨み付けた。
その目に、史はゾクリとする。