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らぶあど encore!
第24章 長い夜
『あらあ、でもそれって重要な事よ!ルックスが良いのにはこしたことはないわ!
でも百聞は一見にしかずですからねえ、天使の美声と清らかなルックスを併せ持つ歌姫の美名ちゃんを見出だした綾波君に、是非とも次なるダイヤの原石にそのバンドマンの子がなり得るのかどうか、見極めて欲しいのよ』
「……それは責任重大ですね」
綾波は喚く三広の口を掌で塞ぎ、鬼の形相で亮介を睨みながら志村と話したが、駅前の時計台を見て何度か頷く。
「もう8時過ぎですね……ここから電車で二駅……ライヴが何時からやっているのかにもよりますが……早くしないと間に合いませんね」
『ごめんなさいねえ、もう少し早く言えばよかったわあ』
「とにかく、行ってきます」
綾波は電話を切ると、三広と亮介に順番にデコピンを決めた。
「うっわ――」
「ひでぶ――!」
綾波の長い指から繰り出された容赦ないデコピンは地味に二人にダメージを与えたようで、二人はよろめき尻餅をついた。
「悪いが、お前らと遊んでる時間はない。今夜は二人で仲良く鍋でも焼き肉でもやってろ」
そう言い捨てると、綾波は走り出し、夜の街の灯りの中へとあっという間に消えていった。