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らぶあど encore!
第24章 長い夜
仕事帰りの人々が何処と無く安らいだ表情を浮かべ、中にはスマホで誰かと笑顔で話している姿が見受けられるが、景子の色を失った頬や定まらない視線は浮いて見えた。
何故彼女はここにいるのか、何故そんな顔をしているのか全くわからないが、亮介は今すぐにその細い肩を抱き締めてやりたい衝動に駆られた。
一体何が彼女をそんな風に物悲しげにさせているのか。
その瞳に沈む暗い色はなにゆえなのか。
そして、それを明るい色に塗り替える事がもし自分に出来るなら、そうしてやりたい――心から思った。
同情なのだろうか。いや、そんなんじゃない、と叫びたい。
――俺はけーちゃんを好きだから……けーちゃんの笑った顔がどんなに可愛くって綺麗なのか知ってるから……だから……
だからそんな悲しい顔を見たくないんだ――