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らぶあど encore!
第24章 長い夜



景子と、走ってくるタクシーの間に飛び出した何秒間か、亮介には周りの風景がスローモーションの様に見えた。

まるで人形の様だった景子の表情が、亮介の姿を認めると頬が薔薇色に染まり、瞳が大きく見開かれ輝き、唇が動いた。

何かを言っている様に見えるが、彼女は自分に何を語りかけているのだろうか?



――バカだな、けーちゃんらしくない……いつも俺には『周りをよく見なさい』とか『子供みたいなバカをするんじゃないの‼』とか叱る癖に、信号を良く見ないで道を渡るだとか、ダメじゃん。

いつも俺がお仕置きされるけど、今日のはダメだよ、お尻を叩いて俺が怒るから。

だって、ダメじゃないか。けーちゃんにもしも何かあったらあの子が悲しむだろう?

洋平君が泣くだろう?俺だって泣くよ。

そんな可愛い顔をしてもダメだからね……俺だって、たまにはビシッと……



景子とタクシーが接触する寸前で、亮介は彼女を突き飛ばした。

景子は大きく目を見開いたまま亮介に手を伸ばして絶叫する。

ブレーキ音と同時に鈍い音がして、亮介の視界から景子が消えた。


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