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らぶあど encore!
第24章 長い夜
史もほなみも、綾波に見られている事に全く気付いていないようだった。
史はほなみの頬から手を離すと、彼女の両手を握ってブンブンと振り回している。
「なあ、いいだろ?本当に何もしねーよ」
「そ、そんなの信じられない!」
「いや、信じろよ」
「無理だってば……っ」
――ぎりっ。
綾波は奥歯を噛み締め、史の横顔を鋭い眼光で見据える。
何故ここにほなみがいるのか――ほなみは今日は景子と一緒の筈だった。
景子は身重のほなみを置いて一体何処へ行ったのか?ほなみの事は祐樹からも頼まれていたはずだ。
マネージャーとして、一人の人間として彼女を信頼した上で祐樹は――綾波も、ほなみを預けたのに、何故?
それに、ほなみが史をキッパリと拒絶しない態度を取っている様に見える事にも綾波は苛立ちを覚えていた。
――何故、何故、そいつに触れられている?
何故、そいつに笑い掛ける?
綾波は、今は他の女を愛している――だが、忘れかけていたほなみへの恋情が胸の奥底で燻り始めるかのように、彼は怒りで震えていた。