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らぶあど encore!
第25章 長い夜②
鈴置が水のペットボトルを寄越してきて、史は受け取ると頬にあてた。
頬に心臓があるかの様にズクンズクン、と痛みを伴い脈打っている。
――ひょっとしてかなり腫れているのか?自慢の顔をよくもこんな風にしやがって……
ほなみも連れていかれて……
あいつ……何者だ……
眼鏡の奥に煌めいていた涼やかな目、真っ直ぐな髪、スラッとした手足――
その姿は、史の良く知る人物にそっくりだった。
――西本祐樹。
殴り倒されて、倒れながら彼の姿を見上げた時、祐樹が史の企みに気付いてほなみを取り返しに来たのかと思ったが、彼は祐樹と似ているのに、何かが決定的に違う様に感じた。
瓜二つで、祐樹本人と言っても通るほどに似ていたが、史は直感的に思った。
――こいつは祐樹じゃない。と。