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らぶあど encore!
第25章 長い夜②
「……これ……落ちてた」
深い物思いに沈んでいる史の鼻先に、鈴置が長い指に名刺を挟んで寄越した。
「……?」
受け取りその名前と肩書きを目にすると、史は大きく息をついて天井を仰ぐ。
鈴置は、隣の部屋のドアノブを回しながら「じゃあ、俺は寝るから」と史に言い、出ていった。
史はちらりとドアの方を見るが、再び名刺に視線を戻し、小さく呟いた。
「綾波……剛……な――るほど……Dream adventureの……岸の犬かよ……」
皮肉な響きを声色に込めながら、祐樹のマネージャーが彼にそっくりだという噂があったのを思い出していた。
クレッシェンドのファンだという女と寝た事があったが、ベッドで彼女がそんな事を言っていた――
「ふん」
史は鼻を鳴らし、名刺を睨んだ。
・
「どんな用件で来たのか知らないが……あんたとはまた会うことになるかも知れないな……」