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らぶあど encore!
第25章 長い夜②
「あ……綾波さん……っ少し……立ち止まって」
強く手を引っ張られたまま早足で歩く綾波のペースに付いていけず、だが手を振り払う事もかなわずにほなみは訴える様に彼の背中に叫んだ。
ライヴハウスで史にからかわれて困っていたら突然綾波が現れて、史を殴って、いきなり腕を掴まれて連れていかれて、ほなみは混乱していた。
綾波の姿を見たとき、祐樹が来たのか、と思ってしまった。
彼らはそっくりだが、ほなみは流石に彼らを見間違えることはない。だが、あの場面で現れた彼の姿は祐樹その人に見えて、ほなみの胸は烈しくときめき、同時に後ろめたさと安心を感じた。
祐樹が来てくれた……でも……秘密でライヴに来たのがわかってしまった、だけど嬉しい――という様々な気持ちが交錯した。
実際、今日は目まぐるしいくらいに色んな事があった。本当なら、あぐりとカナ、景子とマンションでパジャマパーテイーの予定だったのが、あぐりとカナの急病で予定変更になり、景子と病院に行き、そして史のライヴへ行って――
景子はほなみを置いて何処かへ行ってしまい、史はまるで誘惑を仕掛けるかのような態度を取ってほなみを困惑させた。