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らぶあど encore!
第25章 長い夜②
ほなみは両手で下腹部を押さえ、瞼を閉じて鈍痛に耐えていたが、程無くして治まり、安堵の溜め息を吐いた。
綾波が背中を擦り、先程の激昂とは結び付かない優しい声を出す。
「悪い……ついカッとなって乱暴にしたな」
しなやかな指がほなみの頬をそっと撫でるが、綾波は唇を歪めると直ぐに引っ込める。
ほなみから目を逸らし、低い声で彼は聞いてきた。
「……歩けそうか?なんなら車を呼ぶが」
「ううん……ゆっくりなら歩いて大丈夫」
「本当か……?」
彼は振り向き、何秒かほなみを見詰めてからスマホを取り出して話し始めた。
「ああ……悪いが……いま○○区の○○町あたりなんだが……頼む」
指で通話を切ると、綾波は「今迎えを頼んだ」と言って、ほなみは恐縮する。
「すいません……」
「お前は無理をする癖があるからな……大丈夫と言われても信用できんからな。
お前とお腹の子に何かあったら祐樹が発狂するぞ」
「……」
ほなみは、祐樹の悪戯に煌めく瞳が胸の奥に過り、鼻の奥がつんと痛んで思わず俯いた。