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らぶあど encore!
第25章 長い夜②
沢山の人が行き交う夜の街角で、綾波がほなみを抱き寄せる光景に気を留める者は居ない。
賑やかな繁華街の灯りは彼のくっきりとした輪郭を照らし出し、より鋭く魅力的に見せていて、ほなみは目の前の祐樹と同じ面差しの男に図らずもときめいた様に胸を高鳴らせてしまった。
力の入らないか弱い腕で、彼の胸を押して細い声で「は……離して下さい」
と言うが、綾波は可笑しそうに笑って彼女を胸に引き寄せて包み込む様に抱いた。
ほなみが胸の中で声にならない叫びを上げて暴れるが、綾波は耳元で小さく囁く。
「……車が来るまで俺に寄っ掛かってじっとしてろ……疲れたろ」
「――っ」
ほなみは綾波に言われ、途端に身体中が重くなるのを感じた。
確かに今日は病院へ行き、それから休む間も無くライヴハウスへ出掛け、まる一日外に居たのだ。
それに史と居た時には妙な緊張感があって、何処か張り詰めていたのかも知れない。
綾波から仄かなシャボンが薫ってきて、心地好くて思わず瞼を閉じると、眠気が襲ってきた。