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らぶあど encore!
第25章 長い夜②
綾波は、今夜の事をほなみに問い詰めるつもりでいたが、邪気のない彼女を見ていたら、それは酷な気がしてきた。
とにかく今夜はほなみを早く帰して休ませてやらねば、と考えながら彼女の滑らかな髪をひと撫でした時、黒いBMWがハザードを焚いて側の路肩に停車した。
綾波はほなみを離し、運転手に声をかける。
「ほなみの言う所まで送り届けてくれ」
綾波は後部席を開け、促してほなみを乗せるとドアを閉めて、笑顔で手を振る。
「綾波さ――」
ほなみは、窓から小さくなっていく彼の姿を暫く見つめていたが、運転手に「どちらまで?」と尋ねられて、迷い無く、祐樹が居るスタジオの住所を告げていた。
――祐樹に会いたい、と切実に思った。
綾波の姿に、声に、ほなみは愛しい人をどうしようもなく重ねて恋しさを募らせてしまっていた。