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らぶあど encore!
第26章 長い夜③
三広は困り果てて泣きそうになりながら景子の肩を揺すって立たせようとするが、景子は頑固に土下座を止めない。
押し問答のような二人のやり取りが何度か続けられていたが、病室のドアが開いて外の風が入り込み、景子の髪を揺らした。
入ってきた人物を見て、三広は少しホッとした表情になる。
「綾ちゃん……」
「どうだ、亮介は」
綾波のよく響く澄んだ低い声に、景子の細い肩が大きく震えた。
目の前に彼の靴があるのを見て、景子は更に深い土下座をする。
「……あ……綾波さん……申し訳……ありません……っ」
「……」
綾波は、眼鏡の奥のクールな瞳を煌めかせるが、無言で景子を見下ろす。
三広が、またしゃがんで景子に必死に訴えた。
「景子ちゃん、お願いだよ、もう顔を上げてよ」