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らぶあど encore!
第26章 長い夜③
「ばっ…………静かに」
景子が慌てて彼の口を掌で押さえた時、枕元から看護師の咳払いが聞こえ、二人はギョッとする。
『……神田さん?お呼びになりましたか?』
そう言えばさっき亮介はテンパってナースコールのボタンを押してしまったのだ。
景子は、頬も首も何もかも真っ赤に染めて口を押さえた。
ひょっとして、いや間違いなく、今の二人のやり取りはナースステーションに筒抜けだったのだ。
亮介は漸く事態を理解したようで、頭を掻きながら言う。
「はい……す……すいません……なんか、けーちゃんに好きって言って貰えてめちゃ嬉しくて、でも夢じゃないかって思って……
で……なんか押しちゃいました。お騒がせしてすいません……」
「――っ」
景子は恥ずかしさと怒りで頬を膨らまし、ベッドから降りてそっぽを向いた。
看護師達の失笑が聞こえたのち、『……分かりました……何かあったらまたお呼びになって下さい……良かったですね』と笑いを噛み殺した声がして、ブツッと切れた。