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らぶあど encore!
第27章 長い夜④
まだスタジオに居るのだろうか?
もしも入れ違いだったとしたら、と思い当たり、ほなみはスマホの祐樹の番号を探す。
指が震えて上手く操作が出来ず、祐樹の番号を通り越してしまい、あぐりの番号に触れてしまい慌てると、あぐりが電話に出る。
『ぼしぼし……ほなび……どじだの……』
「あっ……あぐり……あのっ」
朦朧とした様子の声にほなみは心配になるが、本心は直ぐに切ってしまって祐樹にかけ直したかった。
だが、向こうから聞こえるその弱々しい――いつものハキハキしたあぐりとは思えない声に胸が痛み、無下に切ることが出来ない。
「……具合悪い時にごめん……どう?
あ……お代金はこれで……ありがとうございました」
そんな事をしているうちにスタジオ前に到着し、ほなみは話ながらアタフタと会計を済ましタクシーから降りた。