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らぶあど encore!
第27章 長い夜④
『あで……まだ外だの?』
「あ……うん、ちょっと寄り道して」
あぐりの問いにギクリとしながら、ほなみは取って付けた返答をし、財布をバッグへ押し込んでスタジオのドアを開ける。
『ぼなび?……今……げーごと一緒?』
「あ……う……うん、うん」
スタジオの廊下は思いの外ほなみの声を響かせた。
ただそれだけのことなのに、心臓がドキドキと鳴る。
微妙に変わるほなみの声色に、あぐりは少し訝しげに訊ねる。
『なんか、あっだ?』
「……っ」
思わず絶句するほなみだったが、その時、廊下の曲がり角から明るい声と足音が聞こえ、スマホを耳に当てたまま固まってしまう。
低くて、けれど甘い、鼓膜にまとわりつく涼やかな声。
歌っていても、話しても、その不思議な魅力は多くの人を惹き付けるのだろう、と思う。
ほなみが、テレビから流れて来た歌声に虜になったように――