この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
らぶあど encore!
第27章 長い夜④
「……だからさ……お前もビシッと、言っちゃえばいいんだって」
鈴を転がすような笑い声と共に語る彼の声が、ほなみをその場から身動きさせなくした。
「いや……俺もビシッとしたつもりだったんだけど……ふああ」
眠そうな気だるげな野村の声がすると、電話の向こうであぐりが反応した。
『え……ぼなび……あんだ、今どごにいるぼ?野村ぐんの声が』
「ごめん……なんか……電波が良くないみたい、後で」
早口で言いながら電話を切った時、野村の肩を小突きながら歩いてくる祐樹とあと数メートルの所で目が合って、ほなみは一瞬にして頬を真っ赤に染める。
野村の肩から手を離した祐樹は、ほなみを見て二、三度瞬きをした。
どうして良いかわからないほなみは、電話を手にその場に立ち尽くす。
自分の恋人なのに、夫なのに、駆け寄って声をかける事が自分から出来ない――
我ながらバカみたい、と思うが、ほなみは祐樹に対していちファンの様に緊張していた。
それだけ、久方ぶりに見る彼はある種のオーラを纏っているように感じた。
(……か……カッコいい……)
ドキドキと全身が脈打つのを止められない。