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らぶあど encore!
第27章 長い夜④
お互いに身動ぎもせずただ見つめあう二人を野村は交互に見て、ひとつ溜め息を吐くと、祐樹の背中をバシッと強めに叩いた。
不意を突かれた祐樹は野村を振り返り睨む。
「何すんだよ――いきなりっ!地味に痛いぞ!」
「……何すんだよ、じゃなくて、祐樹も何をぼさっとしてるのさ……ほら、こういう時は男からガシッと行くんだろ」
野村は苦笑して、祐樹の肩をポンと叩き、ほなみに笑いかけてから、祐樹に小さく耳打ちする。
「……夜通し抱き合って寝坊して、明日のスタジオに遅れないようにな」
「おまっ……」
――まるで、言う事が綾波みたいだな、と言おうとするが、野村は二人に手を振り、上着を翻して風の様に去ってしまった。
スタジオの廊下に残された祐樹とほなみは、見つめあいながら、少しずつ歩み寄った。
一歩、また一歩と近付く度に、磁石が引き合う様に――
「――ほなみ……」
「西くん……」
ほなみがその手を伸ばした瞬間、祐樹は駆け出し、ほなみを抱き締めていた。