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らぶあど encore!
第27章 長い夜④
祐樹はふと笑いを止めて真顔になると、ほなみの目を真っ直ぐに見て言う。
「ほなみ……景子ちゃんは?一緒じゃないの?」
「う……えっと……」
――やっぱりそこを聞いてくるよね、とほなみは曖昧に笑い、視線をさまよわせる。
祐樹のくりくりした目は、ほなみが困っているのを全て見透かしているかのように見えた。
(どうしよう……下手に取り繕おうとすると……失敗しそう……でも、本当の事を言って大丈夫なのかしら)
「あ……あのねっ……」
ほなみが口を開こうとしたその時、「ぐうう」と大きな音がして、祐樹は舌を出して笑った。
「――ねえ、俺すっげ腹ペコ!一日集中してて、朝からなんも食べてなかったの思い出した」
「え……ええ?」
「――ああ、そう言えば、カロリーメイトは食ったかな」
「……そんなのだけじゃダメじゃない……今大変な時なのに……ちゃんと食べないと」
ほなみはそう言いながら、自分が祐樹の側に居て世話を焼いてあげられない事を焦れったく思った。