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らぶあど encore!
第27章 長い夜④
クローゼットの中は予想に反してスッキリと片付いていた。
恐らく綾波がキチンとやってくれているのだろう。
精神が細やかな彼が、唇を少し歪めて文句をこぼしながら祐樹の世話を焼いている光景が浮かび頬が緩むが、その笑顔は直ぐにすぼんでしまう。
今、こうして愛しい人の側にいるのに――同じ空間にいるのに、明日また離れる事を考えてしまって寂しくなる。
(出来るなら一時たりとも離してほしくない。ずっと抱き締めていてほしい――そう思うのは私だけなの……?)
ほなみは、また感情が大きく揺れてしまい、自分にも制御が難しくなっていた。
理性ではわかっている。祐樹も同じ気持ちでいるのだと。でも逃れようのない強い嵐がほなみを襲って正気で居られなくする。
気が付けば、パジャマを取る手に涙がポツリと落ちていた。