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らぶあど encore!
第29章 貴方の側に居たい



「けーちゃん?」



亮介がいつの間にか、景子の目を真っ直ぐに見詰めていた。

景子は取って付けたように笑うが、亮介は彼女の揺れる心情がまるで見えているかの様に眉を寄せ、大きな掌で頭を撫でてくる。



「……心配しなくても、俺はきっちり怪我を治して元通り……いや……寧ろ怪我する前よりも上手くなってスーパーギタリストになってみせるし、バンドも大丈夫だって」

「――」



景子は、亮介への思いを自覚してから恋の喜びを生まれて初めて知ったような気がしていた。史との恋とは全く違う――史は例えるならば永遠に振り向いてくれない気紛れな蝶々だ。ヒラヒラと掴み所がなく、傍へ来たと思えばまた遠くへ飛び立ってしまう。
史への執着は恋心だけでなく、意地もあったのだろうか。

亮介はどこまでも優しく、そしてその優しさは表面的な物ではない。彼ならきっと景子がつまづけば足を止めて待ってくれる。
史なら真逆の行動を取るだろう。

優しいから好きになったのか――と言われれば、それだけではなくて、彼の存在そのものが景子には大切なのだった。

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