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らぶあど encore!
第29章 貴方の側に居たい
「ねえ、けーちゃん」
彼は真剣な顔で囁き、息が耳にかかり景子はゾクリとしてしまった。
片手で抱き寄せたまま、愁いを含んだ色気のある眼差しを向けて景子に目眩を起こさせる。
いつもひょうきんで子供の様な振る舞いをして景子を呆れさせる彼だが、時々とてつもなく妖しい男の魅力を放つ瞬間がある。彼は無意識なのだろう――ずるい、と景子は思ってしまう。
胸を高鳴らせたまま息を詰めて彼を見返すと、彼の唇がゆっくりと開き――その動きを見ているだけで景子は身体の奥が熱く熟れるのを感じた。
彼の唇が景子の耳を掠めた瞬間、景子は小さく叫んでしまうが――
耳元で言われた言葉に、暫し固まってしまった。言葉の意味が直ぐに入ってこなかったのだ。
「リハビリ始めたいからさ、明日俺のギター持ってきてよ」
「……へ?」
てっきり、耳を咬まれてそのまま甘く責められる――と恥ずかしさと期待に身構えていた景子は正直拍子抜けしてしまった。