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らぶあど encore!
第29章 貴方の側に居たい
(ママの笑ったお顔がだーいすき!)
不意に洋平の言葉と屈託のない笑顔が過って熱い涙が一瞬にして景子の瞳に一杯になり、一粒溢れ落ちる。
亮介は驚きに目を見張ると、唇で景子の涙を掬った。
くすぐったくて、ドキドキして、喉の奥が堪らなく痛かった。
「けーちゃん、本当にさ、責任を感じることはないんだ。俺が勝手にした事なんだからね?……確かにバンドの活動はちょっと変則的になるけど――」
景子の涙を、怪我の事を気に病んでの事だと解釈した亮介はそう言って、少しだけ言葉尻を濁す。
クレッシェンドは、亮介が不在の中、怒濤の追い込みでアルバムを完成させた。ツアー開始の前日に発売で、その前に様々なキャンペーン活動が予定されている。
メンバー達と綾波は、話し合いの末、亮介が不在のまま活動をするしかない――という結論に落ち着きそうだったのだが、祐樹がこんな案を出したのだ。
『期間限定の新メンバーを募集する』
という――