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らぶあど encore!
第29章 貴方の側に居たい
彼の長くてしなやかな腕――片腕だけの力とは思えない強さに、痛いような、心地好い様な、ギリギリの境目の感覚で景子は溜め息を漏らした。
彼の香りも揺れる髪も長い手足も細く見えて実は逞しい胸も、真剣になると低くなるその声も引き込まれてしまいそうな真っ直ぐな瞳も――
全てが好きだ、と思った。
許されるなら、いつまでもこうして触れ合って他愛ないお喋りをしながら、甘い思いに沈んでいたい――
心からそう願う。
うっとりと彼の抱擁に身を任せていた景子は、亮介が眉を寄せながら自分が外したブラのホックを懸命に片手で嵌めようとしているのに気付いた。
「――?」
先程から下着のホックを外しておきながらそれ以上の行為に及ぶどころか、また着せようとする彼の行動が謎で、景子は目の前で奮闘する彼をマジマジと見詰める。
景子を片手で抱き締めたまま指先だけを動かしてホックを嵌めようとしているが――そんな器用な事が出来れば大したものだ、と思う。
先程は焦らされたのが面白くなくて腹を立てたが、今はとにかく彼の行動が不思議だった。