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らぶあど encore!
第30章 密約
「――っ」
弾かれたように震え立ち上がった景子に、入ってきた女将はにこやかに笑って横を向き、やってきた人物を中に入るように促した。
「お待ちですよ、綾波様、どうぞ」
綾波は優雅な仕草で靴を脱ぎ、音も立てずに座敷に上がった。
立ち尽くす景子を見て可笑しそうに口を歪めると、小さく「……なんだ、ドレスで来いと言ってあったのにそれか」
と呟き、パンツスーツの景子を上から下まで素早く舐めるように視線を泳がせる。
「……っ?」
景子は危険な気配を一瞬感じて身を固くするが、綾波はすぐに目を逸らし側を通りすぎ、景子の正面の席に座った。
「――女将、日本酒を頼む。冷(ひや)で」
「はい、ただいま」
女将はおっとりと答え、そそ、と出ていった。