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らぶあど encore!
第30章 密約
綾波の可虐心がムクリと頭をもたげた時、襖が開いて女将が料理屋と酒を運んできた。
「どうぞごゆっくり」
頭を下げ上品な物腰で女将が出ていくと、綾波はピンク色の酒のビンと深い青色の瓶を持ち、尋ねた。
「北森さんはかなりイケル口なんだろう?……まずは、どちらから行こうか……甘口か辛口か……」
「わあ……っどっちも凄く美味しいっていう評判のですよね……」
「ほう……流石酒豪はよく知ってらっしゃる」
「さくらレッドスイートからいっても良いですか?」
景子がふと無邪気な表情を見せると、綾波も柔らかく微笑んで用意された磨きあげられたグラスに薄いピンクの液体をゆっくりと注ぎ、景子へ差し出した。
景子は頭をチョコンと下げて、綾波のグラスに注ぐ。
グラスを突き合わせ、涼しげな音を立てると、グラス越しに綾波の妖しい瞳がキラリと光るが、景子は気付かない。
「――そうだな……まずは甘いほうから……いくか」
「ですね……」
綾波の言葉に隠された意味をよく理解らないまま、景子はグラスに口を付ける。