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らぶあど encore!
第30章 密約
綾波の一見冷たい瞳の中には底知れぬ蒼い焔がちらついている。景子は蛇に睨まれた蛙の様に動けない。
彼の指が景子の髪を更に強く引っ張ると、苦痛に彼女の顔が歪み、綾波の口から笑いが漏れた。
景子は、岸会長から紹介された時に綾波に抱いた紳士的な印象と、今目の前で冷たい野獣と化している彼との落差が恐ろしくて堪らない。
危険だと知っていて、飛び込んだのは自分――自業自得だ。
でも、今はまだ亮介と離れたくない。せめて彼が回復するまで側にいたい――
「っ……!」
綾波が景子の首に手を掛けると、彼女は声にならない悲鳴を上げて涙を一杯溜めた瞳で見上げる。