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らぶあど encore!
第30章 密約
『……大丈夫、クレッシェンドの皆は凄いもの……何があっても切り抜けられるよ……だから』
「わ……私……っ」
『ん?』
何処までも柔らかいほなみの声に、景子の罪悪感は強くなっていく。だが、今自分に言えるのはこれしかなかった。
「ほなみ……ごめんね……っ……あの日、ほなみを置き去りに――」
『うふふ……もう……その事はいいってば』
「ほなみ……でも」
『景子ちゃんの様子が心配だったけど……私は、あの夜西くんのところへ行けたから……すごく幸せな夜だったから――……あ……ごめ……何でもない』
ほなみはうっかり本音を口を滑らせ、恥かしかったのか口をつぐんだ。
祐樹が側にいるのだろう。電話の向こうから低い笑いが聞こえた。