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らぶあど encore!
第30章 密約
身重の妻に寄り添う祐樹の幸福な笑みが見えるような気がする。
史との恋愛で自分には掴めなかった物をほなみは手にしている――少し前の景子なら『何故自分だけがこんな悲しい思い出を引きずっていなければならないのか、どうして何も努力もしていない他人の方が幸せそうにしているのか――』と逆恨みにも似た感情を抱いた事だろう。
だが、今の景子は違った。
(――私はもう人を羨まない……恨んだりしない……今までの出来事も……史の事も……どんなに考えたって思い出したって過去は変えられない。
辛くても大変でも、私は自分を認めなくちゃ……精一杯生きてきた結果が今の私なの……そう認めてあげなくちゃ……自分が可哀想だわ。
それに、私を愛してくれている人が――亮介君がいる。今までの私とは、もう違うんだから――)
「ありがとう……ほなみ……私、頑張るから、ほなみも頑張って元気な赤ちゃんを産むのよ……」
景子は、心からの言葉をほなみに向けた。