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らぶあど encore!
第30章 密約
「……ほう?」
綾波の眉が片方上がり、冷たい眼差しが腕の中の景子に向けられる。
怖がっている事を悟られぬよう、景子は精一杯の気高い表情を作り、綾波に笑いかけた。
「本当なら、ここには岸会長もおられた筈ですよね……あ……もしかして、今夜会長も来るというのは……綾波さんの作り話……ですか?」
「……」
綾波の沈黙に、景子はたたみ掛ける。
「岸会長は、どう思われるでしょう?自分の名前を利用して私を呼び出して、料亭の一室で誘導尋問しながら淫らなセクハラ行為に及んだ貴方の事を――」
「……ふん……急に強気になったじゃないか……」
綾波は、景子の顎を持ち上を向かせると、魅惑的な、しかし鋭い瞳を向けた。
景子も真っ直ぐにその瞳を受け止める。
二人の間に蒼い火花が散った。