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らぶあど encore!
第30章 密約
綾波は眼鏡を取り、埃を払うように息をフッっと吹き掛ける。
眼鏡の下の澄んだ瞳は祐樹と良く似ているが、その底知れぬ鋭い輝きは景子の身体を身震いさせた。
(この人にはその場しのぎの誤魔化しなど通用しない……私がバンドと亮介君に不要な存在と見切ったら……容赦なく放り出すだろう――
私も覚悟を決めてかからなければ……)
「――綾波さんは、優しいから……か」
綾波は眼鏡をかけ直し、小さく笑う。
ほなみが全面的に自分を信頼しているのは嬉しいようなくすぐったいような感じがするが、綾波は自分の事をどうしようもない獣だ――と思っている。
彼女に釘を刺されていなければ、あの時電話が来なければ、今頃景子をメチャクチャにしていただろう。