この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
らぶあど encore!
第30章 密約
思えば、ほなみの事も最初は認めてはいなかった。祐樹をたぶらかす魔性の人妻なのだ、と思っていた。
ほなみに電撃的に恋をしたが、失恋をしたと思い込んだ祐樹は決まっていた武道館のライヴをフイにする程に精神に不調をきたしてしまい、自暴自棄になった時期があった。
立ち直らせるために仕方なくほなみを呼び寄せたが、綾波は最初はほなみに嫌がらせかと思うような要求をして彼女を困らせたのだ。
祐樹とした事や話したことを逐一報告しろ、と。
祐樹とした事――つまり、彼とどうやって繋がったか、どのようにしてほなみが果てたか――そんな事まで聞き出そうとした。
興味本意もあった。祐樹が夢中になるほなみとはどんな女なのか――
苛めているうちに次第に惹かれていって、しまいには本気で惚れてしまっていた。
もうそれは過去の事だが、ほなみに頼まれ事をされたりすると無下に出来ないような気がするのは、惚れた弱味のような物か――
「そんな風に言われたら……悪さを出来ないじゃないか……全く」
「――え?」
小さく溢す綾波に景子は聞き返す。