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らぶあど encore!
第30章 密約
綾波は一瞬浮かんだ柔らかい笑みを引っ込め冷たい表情の仮面を被ると、景子の顔の横に片手を突いて言った。
「オーデイションは十日後だ……楽しみにしてるぞ」
「……」
「今夜はお陰で随分といい思いをさせてもらった……この事を亮介が知ったら……あいつはどんな顔をするかな?」
「――止めてっ」
「冗談さ……俺もあいつに殺されたくないからな」
綾波は、身を屈めて景子の耳にそう囁くと手を離して襖を開けて出ていった。
景子はそのまま硬直して動けずにいたが、綾波が女将と軽口を交わす声が聞こえ、戸が閉まる音を聞き、彼が店を出ていったのを悟った時に身体中の力が抜けその場にへたりこんだ。