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らぶあど encore!
第31章 運命のメリーゴーラウンド
「あ、あの……突然すいません……俳優さんか何かですか?」
女は、胸の前で手を組み上ずる声で訊ねた。
こう言うことがよくある史は小さく溜め息を吐くと、女を見て優美に笑う。
「さあ……誰だと思う?」
「えっと……朝番組のヒーロー戦隊ものに出てる吉田涼さん……に似てるって言われません?」
「ふふふ……それもたまに言われるけど……残念ながら俺は役者じゃないよ」
史がサングラスを外し口の端を上げて笑うと、目の前の女は頬を赤くして息を呑んだ。
史は腕時計に視線を落とし、笑顔を崩さないままで言った。
「ごめん、待ち合わせしてるんだ。おねーさんみたいな美人と一緒に居るのを見られたら怒られちゃうよ」
「ええ――っ……そんなあ……そんな事ないですう!……そっか……彼女さん待ちなんですね、いきなりすいませんでした!楽しいデートしてくださいね~」
そう言いながら女は頬を上気させ、史に何回かお辞儀をしてそそくさと自分たちのテーブルに戻っていった。