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らぶあど encore!
第31章 運命のメリーゴーラウンド
景子は上手くやっていた。上手過ぎる程に。岸会長を始めクレッシェンドのメンバーにも信頼された上に、亮介の心を手に入れ、彼女は彼らの懐に入り込んでいた。
後は、上手い罠を仕掛けてやるだけ、という所まで来たが――景子の心の変化に史は気付いていた。
景子は本気でクレッシェンドの連中を、亮介を好いている。
史に抱かれながらも時折見せる戸惑った表情や悲しげな瞳は彼女の迷いを表していた。
史と亮介の間で揺れ動く景子は、これから自分がどうするべきなのかを悩んでいるのだろう。史はその事を察してはいたが、知らないふりを決め込んでいた。
正直どっちでもいい、と思っていた。景子が手元から居なくなるのは惜しい気もするが――自分に興味を無くした女をいつまでも引き留めている程愚かな事はない。
もしも景子が史から去っていったとしても、史は自分の力でどうにか這い上がれる自信があった。
――俺にはこの顔と、この声がある。これは俺だけの武器だ。この武器を手にスターダムへ上がって見せる。