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らぶあど encore!
第31章 運命のメリーゴーラウンド
『明智さんの歌は素敵――』
ほなみの言葉が耳に、胸に残っている。
今までに何度も何十回、いやもっと耳にしてきた賛辞。
だが、ほなみが口にすれば、それは特別な響きを持つ。
むず痒くて甘くて痛い――そして、じっとしておれない不思議な衝動。
多分、いや確実に自分はほなみに心を奪われたのだろう。
祐樹の妻だというのに――最初は祐樹と一緒に壊してやろう、と思っていたのに。
何故こんなに惹かれてしまったのかわからない。自分なら大抵の女を微笑みひとつで身も心も蕩けさせて夢中に出来るのに、ほなみには全くそれが通用しなかったから、だろうか?
どんなに考えても確かな答えなどなかった。
――けれど俺は、ほなみを欲しいと思っている――
史はグラスの中の黄金色の液体を見詰め、一昨日の景子の涙を思った。